2018年12月21日
短編小説
1今日、あたしはとても不思議な夢を見た。今日だけじゃない、昨日、一昨日、その前の日……覚えているいるかぎりずっと同じ夢を見ている気がする。雪の降る公園をはしゃぎまわる夢。そんな夢を毎日、毎日、毎日、
2018年02月25日
1学校から帰って玄関のドアを開けるとそこには普段見慣れない靴が一足。不思議がりながらちょっとうれしい予感がして靴を脱いだあとで居間に行くとそこに親戚のお姉さんがいた。お姉さんといってもわたしのお姉さんではな
2017年08月02日
ショートショート
これはハンドルと呼べばいいんだろうか?コーヒーミルの取っ手を回しながら少しずつ音と香りを探っていく。正直言うとお店で挽いてもらってきたほうがおいしいけれど、春先の雨ですることともなく時間を持て余したわたしたちにはちょうどいいお茶の楽
2017年03月13日
百文字噺
次にここに貴女と来るのは何時になることでしょう。明日、あの方との暮らしが始まる不安で世間知らずの頃が懐かしい。契りを交わし誰よりも近かった私達。これからも同じでしょうか。貴女の心を知りながら祈るだけです。
2017年03月12日
夜風に慰められ窓を閉じ机に向かって綴る言葉はすらすらと出ながらも自分が書いた気がしない。だけども封蝋はどこか怖くもう一通、認めることに。ただ、これは送れない。けれど全て綴ろう。滲むインクと一晩の間。
風が強い日で少し風見鶏が心配になった。あちこち吹かれて風も見れずに飛ばされないか。だけど、道が灯らずカンテラだよりの私は顔の雨粒を涙に変えて迷ってしまった。ふと、片手があたたかい。あなたが来たのね。
2017年02月21日
ヒマだな土曜の午後って……。なかよしの友達はみんな都合悪いみたいだし。あたしはふわふわしたお部屋の空気の中でなにげなくそんなことを考えながらため息をついた。こんな時って、〝あの子〟の声が聞きたくなるんだよね。とっても仲のい
2014年07月22日
小さな同居人がわたしをじっと見ている。日が傾き始めたころに部屋に戻ってきたわたしは窓の近くから視線を感じてあちらの首を傾ける仕草を真似をしてみる。こうしてほんの少しの間だけど、こうして「にらめっこ」ならぬ「ほほえみっこ」するのがわ
2010年06月30日
今日、買ってきたばかりのキャンドルに火を灯してみた。テーブルの前にしゃがみこんで、その日をなんとなく見つめている。眠れない夜にゆらゆらと気まぐれに、そして控えめに照らす暖かい色の光。僕はあくびがやってくるのを待っていた。け
2009年12月30日
ぼくが見つけたこの場所。言ってしまえば秘密基地。古い家がおしくら饅頭の様に立ち並ぶこのぼろぼろの街。いや町。二階や三階を歩けばまるでそれが楽器か何か――それも聞いた事もない山奥の民族の楽器みたいな――そんな風に思ってしまうような奇妙な