2009年12月30日
ショートショート
目覚まし時計が鳴るとぼくは少しだけ耳が痛くなる。出窓でのんきにしているぼくのすぐ横で目覚まし時計のやつは毎朝毎朝、飽きもせずにこのご近所さんより少しだけ広いのが自慢の家中に聞こえるくらいの大声で叫んでいる。まったくまったく。正直言
2009年12月19日
目が覚めて最初に気がついたのは涙の感触だった。夢の内容は頭の中があいまいすぎて覚えては居ない。だけど、昨日の追体験かそれに近い何かであろう事は何となくだけど分かる。知らなければいけないけれど、知りたくはなかった事。無邪気なあたしの
2009年12月14日
家につくと僕はソファーに腰掛けて手に息を吹きかけた。ずいぶんと底冷えする冬の入り口の日。さすがに透き間風はないにしても、この家は古いから暖房を入れないと外の寒さを正直に伝えてくる。今日の朝の回覧板を見ていなければ、さっさと暖房を入
2009年11月25日
時代遅れの無線機。お父さんが昔使っていたもので、押入れの奥から出てきた時にはすっかり埃を被っていた。免許が必要ないものだって話だから、こっそりと押入れからわたしの部屋に運んで古本屋で見つけた色あせた入門書を片手に使い方を覚えた。そ
2009年09月12日
短編小説
1Side Aすすきの花が咲くのを見てわたしはすっかり古くなったテラスのテーブルで溜息をついた。空気が夏の強いものから秋の包むようなものへと変化を始めているの感じる。苺の香りが付けられた紅茶はそろ
2009年08月12日
退屈な一週間が今年もやってきてしまった。わたしが住んでるのは山に近い団地なわけで、わたしが生まれるよりも少し前までは人なんて住んでなかったわけで、静かな山林だったここはずいぶんとにぎやかになったもんだと思う。そして、寂しがり屋のわ
2009年07月17日
パンケーキを三人分頼んで一気に重ねてタワーが出来た。わたしたちは重ねる時に支えで使ったフォークをタイミングを合わせてそっと離す。緊張の一瞬。息が詰まる数秒間。重ねるときよりもこの時の方が緊張するかもしれない。だけど、わたしたち
2009年07月06日
1梅雨明けが近いのか、今日は久しぶりに雨が止んで暖かい日になった。湿っぽい空気ではあるけど、雨の日や数日前の低気圧が来ていた頃に比べたら快適なほうだ。だから、今日は窓を開けて扇風機を回してなるべくこの居
2009年06月16日
雨足が止むまでの間、なんとなくわたしたちは黙ったままいた。君がこの部屋に来るのはいつ以来だろう?きっと、わたしたちが「ともだち」じゃなくなるよりもずっと前。どっちが先かはわからないけど、わたしか君のどっちかが「ただのともだち」だと
2009年05月25日
一歩、そしてまた一歩。暗い階段を私に上って行く。先を見たくないけれど、そんな事してる場合じゃない。この階段の先では適度な雲がバランスのいい青空の下で、あの子が空に似合わずこの世の終わりのような顔をしてるに違いない。あの子は泣き