知ったわたしとまだ小さな被写体の君

2010年06月26日 23:39

ここで君を撮るのはずいぶんと慣れてしまったわね

このフィルムの名前と同じ小人みたいな小さな君

着慣れない一張羅の緊張感

それを覗き込むファインダーから見守るわたし

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古ぼけたこのカメラはまだ慣れてはいないけど

これまでの小さなカメラはたくさんのものを写してきたわ

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こうしてモデルになってくれるのもあとどれくらい?

そのセーラー服が似合うような

それこそ海原を守れるくらいにたくましくなるまでかしら?

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幼さだらけのか細いシルエットはまだまだあの頃のままだけどね

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下を向いて覗き込むわたしの口元はカメラで見えないでしょう

それでいいのかも 一張羅で緊張する君に気づかれないくらい

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君の表情と対照的なわたしの表情

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そう それがどれだけの意味を持っているのかきっと分からない

でも 分からないままでいいのかもしれない

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こうしてコンフリーが咲く季節

何も知らない小さなわたしたちはその甘さを味わってから

ここでキスをかわしたのね

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いつかの誰かとのその時のため

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だけど恋を知らない君は不思議顔

大人になる為の練習で意味をわかったくらい?

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君はまだ恋をしらないのかな?

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わたしは知ったし 練習じゃない本当のキスもした

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けどね あの練習 後から気づけば本当だったの

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わかるかな?

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小さなわたしは もっと小さな君にか細く恋をしていたの

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お互いに恋を知って その続きを知ったときに

この話は打ち明けてあげるわね

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今はただ わたしに向かって笑って欲しいな

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