目の囁きはフォトメランコリックに

2008年09月12日 0:20

あなたの瞳とわたしの瞳

隔てるものは複雑すぎる あの機械

ふたりの瞳を光が結ぶ だけどあなたはそれを止める

わたしの時間を切り取る為に

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スタジオの中にいる間だけは わたしはあなたのお人形

だから このわずかな時間だけは わたしはあなたのもの

なんだってしてあげる あなたの言うとおりに

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天使にもお姫様にも赤ずきんにもアリスにも

あなたの望むものになんだってなってあげる

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ここでだけは わたしの願いが叶うの だから

だから わたしを好きなように照らして

できるかぎりの綺麗な姿を見せてあげるから

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だけどそれも束の間の それも心で色付けした絵空事

あなたにとってこの時間は どこまでいっても「お仕事」ね

それは分かってる 忘れたいけど嫌というほど

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その立派なカメラを持って 家へ帰れば知らない顔をしているはずよ

わたしがどんなに望んだところで その目はわたしを見てくれない

ファインダーの中に閉じ込めたのが あなたにとってのわたしだから

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社交的なあなたが招待してくれた あの日のリビング

低い本棚にフォトフレームと一緒に置かれたお人形

ぱっちりした目をした 気まぐれそうな女の子人形

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わたしが彼女になれたなら あなたはその目でわたしを見るの?

キスもハグも望まない わがままなんて言ったりしない

ただわたしは欲しいだけ あなたのプライベートな笑顔がね

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小さな頃見た恐ろしいフィルムのように

あの子に魂を閉じ込められたら

そんな事を考えながら これが終わればママの車で家へ帰るの

部屋に戻れば この皆にかこまれた一人ぼっちに泣かなきゃいけない

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ここがカメラのない世界なら 仕事を否定しちゃうけど

考えるのは悪い事?

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