有声hの夜に苦しみはrのように
2008年04月30日 23:44
クラヴサンはつぶやく
暗い部屋に月はやさしい光を投げ込む
クラヴサンは泣いている
涙の代わりに濡れた音をつむぎながら
窓の形に照らされた床が苦しい
目を閉じたいのに月明かりは許してくれない
自動機械になった指は涙の代わりの音を
彫刻になった目は月明かりの幻灯を
そこから離れられない今夜の規則
わたしの心を罰する月夜の規則
わたし自身が消えてしまいそうな
だけど
どこまでも音と光に縛り付けられる夜
壊れればいい
わたしだけが床に落ちるヴェールのように
子供のいたずらに殺されるボワタ・ミュジクのように
彫刻と自動機械でできたわたしは
いつまでもつづけている
きっとこの夜が終わるまで
クラヴサンが流す音の涙と
月明かりの苦しみを
休むことなく傷口にすりこむ今夜の勤めを
朝はまだ来ない
待つ事も忘れてしまいそう