ワンピースとミッドナイトスライドショー

2010年03月31日 23:54

眠れないから バスタブにラベンダー

眠れないから ティーカップにカモミール

​​

バスタイムもティーカップも

どちらも僕を助けてくれない

何もない退屈な夜は 焦りを増やしながら

来て欲しくない朝を引いてくる

​​

冴えた目にあらがうのはもうおしまい

僕は今まで着てきたワンピースを

古ぼけた白熱灯で照らされた床に広げる

​​

ストライプのは夏の海岸線

ボーダーニットは春先の寒い通学路

エプロンワンピは焼きりんごとこの部屋最初のキス

スウェットワンピは林の公園のバトミントン

ポップなシャツワンピは浴衣を忘れた帰省後の花火

​​

過ぎ去ったボーイフレンドたちと

その時々の僕のことをゆったりゆったり思い出す

​​

時間が静かになったときは

思い出と一緒に時間を少しずつたどっていく

​​

…でも

​​

あの子は誰だろう?

この影絵のワンピ これはいつのやつだろう?

だるさに酔ったか 思い出せない

​​

デートはなんだか覚えている

雪が降りそうな春先にしょんぼりして出かけた日

​​

あの日の僕はこのワンピともこもこミトン

白い息を綿菓子みたいにほおばろうと…

​​

僕はそこで気がついたんだ

​​

そうだ 君はそうだよ そうだったよね

​​

僕はまだ 君に出会っていなかったんだ

​​

だから どこにいるか分からないけどメッセージ

僕も頑張って探すから 君も早く僕を見つけ出してね

Recent Poems