フロム・マウス・ヴィア・ライン

2009年04月02日 1:09

受話器を握るのに疲れたの

だからあごで支えながら

こうして指にくるくると手に髪を巻きつけて

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包まるブランケットがなんだか暑く感じるけど

それでもこの感触がなんだか離せなくて

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夜はじつは好きじゃない

寂しいから 何か感覚が鈍る感じがするから

取り残されてるんじゃないかって 不安になるから

それはひとりだから

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こうして受話器ごしの声に触れていると

夜が別の色で塗り替えられていくみたい

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見えるわけなんてないのにパジャマの着こなし気にしたり

なんども全身鏡の自分を確認して

髪の毛も乱れてないか そんな事をずいぶん考えている

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それよりも なによりも

声の調子はおかしくない?

不自然じゃない? くどくはない?

それに言葉だって

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ここで気にしてしまうのは やっぱり言葉

なんだか あいまい 中身がないかも

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どうしよう どうしよう

ちょっとの沈黙がとっても怖い

その後に聞こえる声が他の言葉より低かったりすると

嫌われたのかと どんよりが体を駆け巡る

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遠回りは嫌だから 気が付いてほしいから

だからつい口から出るのは 大胆な一言

向こうは笑う わたしは慌てる

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だけど 「じゃあね」の頃には 知らないところに触れたみたい

約束はしっかり その後の時間を素敵に予告

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受話器がそのベッドに戻った後は

眠る前に中に向かって練習してみる

そろそろそんな時期になるかも

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