ニッパーみたいに午後の歌を

2008年09月12日 0:40

思い切って窓をあける 午後のはじめ

食べたばかりの 体を休ませて

開いた窓の前にうつぶせになる

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まるでわたしは あの犬みたい

ご主人の声のかわりに

これから聞くのは 過ぎた夏の気持ちの痕跡

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高い日差しは入ってこない

だけどそれは ほんのちょっとの差

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今どきみない 大げさなラッパ

これは飾りなんだけど こんな気分を飾ってくれる

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見上げたラッパは少し怖い

けれど 目の前から聞こえてくる音は

あれから 時間がたったって変わってないんだね

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ちょっと嘘ね プチプチ ノイズが少し増えた

なんだか 過ぎた事を実感しちゃうみたい

そうか あれは昨日の事なんて言えないんだ

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それなのに 体はやっぱり覚えてる

中身をそっくりそのまま どこかへやってしまったみたいな

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ひとりで叶えるものじゃなければ あとは波に飲まれてみる

そんな勢い あれからあったかな

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ゆっくり足をばたつかせてみて

左右に揺れたりもしてみたりして

わたしは わたしの年ではまだ遠い夏に溺れてみてる

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そんなに好きでも この時期しか出番はない

今どきレコード だからいいのね

他の時になんか聞けないから

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古いプレーヤーは夏の為の 夏だけのもの

これはやっぱり わたしにとっては水着と同じ

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涙の代わりに フローリングでごろごろ転がる

見上げた天井は 思ったよりも高かった

真上の太陽でできた 家の中は丸ごと影

それは この時間に都合がいいんだ

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