セピアをローズで塗る為のぼやけた狭間

2008年12月18日 0:49

大きな石の上で僕は 動かないまま 早起きな鳥の声を聞く

隔てるもののない あいまいな境界線

茂みと 花畑 そこは徐々に交じり合う グレーな国境

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そう ここはあいまいだらけの だらしのない世界

視界を朝もやにさえぎられながら

凍えた体をほったらかしで 黙りこんでいる

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白い壁のあの家の窓 外の傷みだらけの空気が嘘のよう

赤いばらは 区切られた夏の中で咲き誇る

まるで それは ここで凍える僕に哀れみを投げかけるように

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夜をゆりかごで過ごす事に耐えられなくて だからここに来た

コートの隙間から 少しずつ染み込む 冷たい湿気

このコートに隔てられていても パジャマのままは震えを誘う

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吐く息はどこまでも白くて その白は朝もやに合流していく

僕の目には色がないかのよう

あの窓の向こうの ショーケースの日向のバラ以外には

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グラデーションの狭間の柵に 手をかけて僕は目を閉じる

音のない ぜんまいがまかれる前の世界

ここで僕は 真昼の声の残骸を耳で拾い集めてみる

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ほんの数十歩 たったそれだけの距離でしかない

だけど 僕はどこまでも隔てられている

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お願いだ赤いばら 僕のノックを伝えて欲しい

出来る事なら誰かは言わずに

だけど あの場所の名前だけは 忘れずに告げて

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大樹のブランコ そう言えばきっと分かるはずだ

くだらない偶然が起こっただけの あの場所が

今の間は 僕を誰か 存在と言葉を紐付ける唯一のものだから

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君が伝えてくれるのなら この世界はぼくの目には

きっとこれから 君以上に鮮やかに 変わっていくって思えるんだ

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