わたしの望む”ジェ” あなたの知らない”カ”

2009年08月11日 0:22

このアパートで一番空に近いところ

ここに上るはしごへの道はわたしとあの人

それくらいしか知らないはず

​​

だけど あなたはわたしを知らない

ここを自分だけの特等席だと思い込んでる

​​

そんなわたしはあなたの置いていった

古ぼけたディレクターズチェアに腰掛けて

カリーナを気取って本を読む

​​

ヌーヴェルバーグを気取って眺めるのかしら

この街並みはパリには程遠いけれども

​​

小さなこの街は人工的で

だけど古くて手垢でデコレーションされていて

​​

そんな眺めに何かを心の中から注ぎ込むのかしら

自分だけが起こせる新しい波を気取ったりして

​​

あなたのカメラの端に映る事ができたなら

あなたはわたしを探してくれる?

​​

小さな街だけどまぎれるには

人は十分沢山いるのだから

その賭けに出てみるのも面白そうね

​​

大丈夫 見つけてくれると信じるのだから

わたしは去らずに待っててあげるわ

​​

使い古しの理論をここで学ぶわたしに一瞬

時を壊されたような 混乱が起こる

​​

瞬く間に消えた本の行方を頭上に求め

見上げた先にはあなたの顔が

​​

フレームの端に注意深く現れなくても

出会いはこんな風に来ているのね

​​

そう あなたはわたしを知らないなんて

うぬぼれもいいところね

​​

この場合 「はじめまして」でいいのかしら?

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