ばらいろ

2008年05月12日 23:34

ぼくしか知らない屋根裏部屋 ぼくしか来れない小さな部屋

小さな窓辺においた皿の上に こんがりバケットがいいにおい

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ここから出せない秘密のために ぼくはこっそり焼き上げる

ローズのジャムをたっぷりと 焼きたてバケットにたっぷりと

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ローズの味はぼくだけの味 他の誰にも食べさせない

これはぼくだけにおいしい ひとりきりの味

誰かが食べれば 傷つける ぼくと誰かのドアを閉める

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ローズの香りがほしいときは ぼくはひとりきりでここにくる

このジャムの甘さだけ

甘さが連れ出すひとりごとが 世界でひとつのぼくのこころ

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誰かぼくをノックする?

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してほしい?

それともイヤ?

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わかってくれるなら 誰かノックを

口の鍵 胸の鍵 傷つかないなら 誰かの為に開けてあげたい

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ねぇ お願い 気づいてる?

気づいてるならやってきて

息を止めて階段を上がれば そこはぼくの屋根裏部屋

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一緒に食べてくれるなら 一緒にローズのジャムを食べよう

気づいてくれる誰かの為に 今日のぼくはバケットを焼く

胸の奥のローズジャムを 誰かにごちそうできるように

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